上野圭一さんとの対談〈前半〉

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CEO大瀧純子のスペシャル対談

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上野圭一さんとの対談(前半)

大瀧純子
シナジーカンパニージャパンCEO。オーガニックハーブ製品の開発者であり、企画プロデューサー。ガイア・エヌピーにて国産初のハーブサプリメントシリーズを事業化。その後、ナチュラルハウスのバイヤーを経てシナジーカンパニージャパンへ。同社の創業メンバーとして活動しながら、子育てや家庭生活を両立させてきた経験を踏まえ、女性ならではの視点での開発や事業運営に取り組む。
上野圭一さん
翻訳家。癒しと憩いのライブラリー館長。日本ホリスティック医学協会副会長。訳書に「人はなぜ治るのか」「癒す心、治る力」「人生は廻る輪のように」「ライフレッスン」「森の旅人」「バイブレーショナル・メディスン」など。著書に「ナチュラルハイ」「ヒーリングボディ」「わたしが治る12の力」「代替医療・オルタナティヴの可能性」「補完代替医療入門」など。

アンドルー・ワイル博士との出会い

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大瀧: 上野さんのことは、アンドルー・ワイル博士の著書の翻訳者としてご存知の方が多いと思います。「癒す心、治る力」や「人はなぜ治るのか」などの名著にふれ、目から鱗といいますか、健康、病気、治癒、といったことの考え方が根本から変わったという方も少なくないと思います。私もその一人です。博士との出会いについても伺いたいのですが、まずは上野さんが健康や医療に興味をお持ちになったきっかけを教えていただけますか?

上野圭一さん(以下、上野): 私は子供の頃すごく病弱だったんです。小学生の頃は体操の授業に出られなかった。母がとにかく神経質で、すぐに手を洗えとか、むやみに電車のつり革に触るなとか、潔癖症なところがあって病弱な子になってしまった。でも、中学に入って山登りの面白さを覚え、つり革につかまっても、泥んこになっても大丈夫なんだ、と体感するんです。むしろ、泥んこになるのが面白いなって。そうしているうちに、病弱な体質が自然と治っていきました。山と触れ合っているうちに特別な治療をしなくても病弱でなくなったという経験が、健康に興味をもつきっかけだったのかもしれません。

後に私は医学に興味をもつのですが、西洋医療と東洋医療を知って、同じ人間をみているはずなのに、なぜこうも違うんだろう?全く違う角度から光を当てるんだろうと疑問を持つようになりました。そんな時に、アンドルー・ワイルの本を読む機会があって、西洋医療、東洋医療のどちらかから人を診るのではなく、あらゆる角度から診ていくというアプローチがあることを知り、目を開かされました。

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大瀧: 上野さんは今でもアンドルー・ワイル博士と親交が深いですよね。かなり、ながいお付き合いになるのでは?

上野: ワイルとの出会いは1983年。「人はなぜ治るのか」という彼の本の翻訳がきっかけです。ワイルは当時、カウンターカルチャーの有名人で、彼の本はヒッピーコミュニティーのベストセラーでした。その後、来日した時に実際にお会いして、それ以来のお付き合いです。

彼はハーバードの医学部を卒業していますが、その前は心理学や植物学を学んでおり、民族精神薬理学や言語学にも明るい。さまざまな医療を統合し、人間に本来備わっている自然治癒力を引き出す“統合医療”を提唱しています。
「人はなぜ治るのか」という著書の中で、ワイルは、“医者が治す”のではなく本来人は“自分で治っていく”のだということを今一度気づかせてくれました。ヘルス&ヒーリングというジャンルは、彼がこの本を出すまではなかったんです。“健康法”ではなくて、そもそも“健康”とはなにか?という視点です。

大瀧: “健康法”について書かれた本は、ちまたにあふれていますが、命の根源や人間とは何か、というところまでを含み込んで“健康”について語られた本は現在においてもあまり見かけません。「人はなぜ治るのか」は今でも私たちに深いレベルでの示唆を与えてくれますね。

「癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか」角川文庫ソフィア
「人はなぜ治るのか―現代医学と代替医学にみる治癒と健康のメカニズム」日本教文社

ワイル博士、そして上野さんが紹介した統合医療とは

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大瀧: 上野さんは日本ホリスティック医学協会副会長もされていますが、統合医療では、西洋医療と東洋医療をどう使い分けるのでしょうか?分かるようでわからない。多くの人が混合診療と同じことのように捉えているように思うのですが…。

上野: 統合医療とは、二つの違うものを組み合わせるんじゃなくて、西洋医学そのものの枠組みを変えようとする試みです。人の命をどのように扱っていけばいいのか?病気とは何か?健康とは……、そんな風に哲学に根ざして医療を再編していくことが統合医療のベースです。
患者の身体の中を調べるだけじゃなく、人との関係、社会との関係、仕事との関係、自然との関係、そういった関係性を探っていく関係性の医学とも言えます。また、何をどのように食べ、どうやって眠って、どんな風に一日を過ごしているのかというライフスタイル自体を診察の対象とします。
統合医療とは、例えば、アーユルヴェーダと西洋医療を同時に施していくよ、ということではなく、心身、食、睡眠、運動、人間関係などのすべてを、科学のまな板に載せていく試みのことです。

それにより、人間の命の力、つまり底知れない資源を最大限に使っていくことを目指します。養生(生を養うこと)であり、自然治癒力を高めることです。

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大瀧: 自分の中に眠る資源、与えられたものを生かして健康になっていく、というのは、とてもエコですね(笑)。でも本当に、そこが一番大事な出発点なのだと思います。病気になると、自分は無力で、あとは医者任せ、ということになりがちですが、それではもったいないですし、上手くもいかないですね。

上野: そうなんです。現在は理解を示す医師も増えてきているのですが、ワイルの本が日本に紹介された頃は、統合医療の考え方に嫌悪感を示す医者が多かったんです。でも、医学生たちからは大変な関心を集めた。学生たちはフレッシュな感性をもち、何にも染まっていない。特に熱心だったのが東京医科大の学生で、彼らに乞われて私も一緒に毎月ワイルの読書会を行っていました。現在、統合医療の第一人者と言われる医師になっている方々の多くは、当時統合医療に関心を寄せてくれた医学生たちなんですよ。

大瀧: そういうお医者様が増えてくれたら、もっと多くの人が人間らしい医療を受けられるようになるのでしょうね。医者は、患者さんがもっている可能性を最大限に引き出す役割をしてくれて、一緒に歩いてくれる人。そうであったら、病気に対する見方も変わってきますね。自分を中から変えてくれるきっかけと捉えたり、もっと前向きな出来事になるかもしれません。

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