志村洋子さんとの対談〈前半〉

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CEO大瀧純子のスペシャル対談

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志村洋子さんとの対談(前半)

大瀧純子
シナジーカンパニージャパンCEO。オーガニックハーブ製品の開発者であり、企画プロデューサー。ガイア・エヌピーにて国産初のハーブサプリメントシリーズを事業化。その後、ナチュラルハウスのバイヤーを経てシナジーカンパニージャパンへ。同社の創業メンバーとして活動しながら、子育てや家庭生活を両立させてきた経験を踏まえ、女性ならではの視点での開発や事業運営に取り組む。
志村洋子さん
染織作家。「藍建て」に強く心を引かれ、30代から母、志村ふくみ氏(人間国宝)と同じ染織の世界に入る。1989年に、宗教、芸術、教育など文化の全体像を織物を通して学ぶ場として「都機工房」を創設。2013年、志村ふくみ氏と共に、アルスシムラ(芸術学校)を設立。作品集に『志村洋子 染と織の意匠 オペラ』がある。新潮社「考える人」にて「日本の色と言葉」を連載中(2014年2月現在)。
http://www.shimuranoiro.com/

植物の色で物語を織り上げる

対談画像1

大瀧: 今日は対談をお受けいただき、本当にありがとうございます。なぜ先生と、と思ったのかをお話ししますと、やはりそれは「色」なんです。先生たちが植物の色をいただいて染め上げた糸や織物と、ピュアシナジーの52色の色、それが同じだと感じたのが切っ掛けです。
私は昨年4月から4ヵ月間、毎週京都に通って先生のもとで学ばせて頂いたのですが、きちんとお話を伺うのは初めてですので、とても楽しみです。まずは皆さんに先生方のご活動についてお話し頂ければと思います。
先生はご自分たちで染色した絹糸を使って織物を作られていますが、その糸はどんな方法で染めているのか、ご紹介頂けますでしょうか。

志村洋子さん(以下志村): 昔は工房(京都嵯峨野)近くの草木を使って染めていたんです。かなり長い間そうしていたのですが、作家として作りたいものが多岐に渡ってきた時に、貪欲に様々な色がほしくなってきました。
身近な植物で染めていると、どうしてもベージュやグレーが中心になってきます。そこで、日本でどれくらいの植物染料が使用されているのか調べ上げ、徐々に新たな植物を手に入れて使うようになりました。現在は、ざっと15種類くらいの植物を使って、20〜30色を織物に使用しています。ひとつの織物の中にたくさんの色を用いることが私たちのひとつの大きな特徴です。

大瀧: 少し違うかもしれませんが、私たちのようにハーブ製品を扱う世界では、植物のブレンドは種類が多ければ多いほど作るのが難しいんですね。ピュアシナジーの場合は52種類ですが、その数でベストな調和を生み出すのは大変なことです。
織物においても、色数が多い織物というのはやはり難しいのではないですか?

志村: 私たちの場合は、織物というよりは、様々な絵の具(色糸)を使って絵を描いている感じです。さまざまな組み合わせの中で、色は新たな物語を語りはじめます。自然と多くの色を使っていますね。
糸は通常、植物を煮出したもので染めていきますが、藍(あい)だけは熱をかけないで染めます。藍は月の満ち欠けで色が変わるんです。一番いいのは満月時の1回染め。重ね染しないので、色にとても透明感があります。

大瀧: それらの色が本当に美しいんですよね。どの色も輝いている。
お蚕さんの繭からつむいだ動物性である絹糸と、色のもとになる植物、そして色止めとして鉱物を使う。それらを調和させて新しい美を創造するのが人間。ここには地球のあらゆる要素が入っている、そのことを教えて頂いて感動したのを思い出します。

対談画像2

志村: 私たちは色(植物)を絶対混ぜないんです。
1つの色を得るために、ヨモギ、バラ、クチナシ・・・といった植物を単体で染めます。
一般的には、染まった色にまた他の色をかけあわせていくのですが、色は混ぜるとどんどん濁っていくので、私たちは基本的にはそれは行いません。
個が個として独立しているから、私は○○という色だ、ということができるんです。
個であるから、他の色と求め合うことができる。一緒になれる。人間と同じですね。

大瀧: ピュアシナジーでも、ひとつひとつの色をとても大切にしています。植物ごとに冷凍乾燥したり、エッセンスを抽出したりして、おのおのパウダー状にしてから初めて混ぜ合わせます。そうすると、52種類の植物の52色を混ぜ合わせても不協和音は聞こえてきません。
科学的な色は組み合わせを間違えると汚く感じたりすることもあるけど、自然のものにはそれがありません。その中でもベストなブレンドを追及したのがピュアシナジーなんです。

満月の日の藍の色

対談画像3

大瀧: 先生が一番力をいれてつくられているのは藍でしょうか?
先生や工房の皆さんは藍のことを、「藍さん」と呼んで大切に育ててらっしゃいますよね?

志村: そうですね。他の色と違って、藍は一番手間ひまがかかります。藍だけは人間の手が加わらないとできない色なんです。
他の色は、植物からいただいているだけで、藍のように育ててはいません。

大瀧: 藍は色の出が安定せず、最も発色が難しい色だとか?
(お母様の)ふくみ先生がご苦労されていたところ、洋子先生が月との関係を発見して、藍という色が安定して出るようになったそうですね。どうしてそのことに気が付かれたのでしょう?

志村: 私たちは染めた色を分析して数量化しているわけでもないし、昔の文献をもとに作っているわけでもない。唯一私たちが持っている決定的なことは“色が美しいかどうかを見る目”だけです。これは、根拠はありませんが心の底から自信があります。
お伝えするのは難しい部分なのですが、自信がある目で見ると、美しいところに法則を見つけることができるんですね。
その目で見た時に、満月の日の藍が一番美しかったんです。
月と藍と私たちの誓いのようなものです。3者の共同作業です。これら3者が一体にならないと美しい色にならないんです。

対談画像4

大瀧: 植物の色でどうしても単体で染まらないのが緑だと伺いましたが、そのお話をお聞かせ頂けますか?

志村: 藍甕(あいがめ)に絹糸をひたして、引き上げた時に一瞬だけ鮮やかな緑色が出るんです。でも、すぐに消えて、藍色に変わってしまう。緑色の糸を作るには、いったん黄色に染めてから、藍色に染め重ねるしかありません。あの一瞬の緑は、この世のものとは思えません。

大瀧: これだけ世界には緑色の植物があふれているのに、そのどれもが、糸を緑に染めることは出来ないということは、本当に不思議ですね。ピュアシナジーは逆といいますか、緑の他に、赤や紫や、青、黄色、ベージュなど様々な色が混ざり合っているのですが、すべてを合わせると緑色に見えます。

志村: 草木は生きているから緑なんですよね。切ってしまったら茶色になる。
植物の集合体であるピュアシナジーが緑色を保っているということは、ピュアシナジーの植物は死んでいないってことなのかしら?

大瀧: シナジー社では植物を瞬間冷凍して粉砕しているんですが、ピュアシナジーはいわば休眠状態。植物のエネルギーを止めている状態です。瓶に入れた後は空気にも光にも触れさせない。水に入れた時にわっと一気に目覚める仕組みです。
ピュアシナジーは人の身体に入った時に働きはじめるように作られています。

志村: 本当に植物はすごいなと思いますよ。植物は人間に自分が下だと思われることを許しているんですよね。すべてを人間に捧げているというか、使われて文句も言わない。植物と人間とでは本当に格が違うんだと思います。


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